「岩殿寺」逗子にある由緒ある寺を訪ねて

逗子市久木にある「岩殿寺」は鎌倉時代よりも古く、鎌倉幕府三代将軍の源実朝もたびたび訪れたそうです。

岩殿寺は、曹洞宗の寺院で、本尊は十一面観音菩薩です。

歴史は古く、鎌倉最古の寺といわれている杉本寺よりも昔からあるようです。

 

岩殿寺は、721年に徳道上人によって開山され、創建には行基が関わっているといわれます。

行基といえば、僧侶最高の地位である大僧正として東大寺の大仏を作った、歴史の教科書にも出てくる人物です。

でも、行基が関東に来たというのは実際にはないようで、各地にある行基伝説と同じようです。

 

寺へは閑静な住宅地を通って行くのですが、平日だったこともあって、途中で他の観光客と会わず不安になりました。

岩殿寺へのアクセス

岩殿寺への最寄り駅は、JR横須賀線の「逗子駅」になります。

逗子駅から歩いた場合は、15分から20分くらいかかります。

 

岩殿寺は、住宅地を進んでいった奥にある寺です。

寺の周りも閑静な住宅地で、平日は歩いている人もあまり見かけません。

途中は細い道になるので、地図で確認しながらでないと迷う可能性があります。

逗子を代表する観光名所の一つにしては寂しい印象を受けました。

 

道が間違ってなければ、岩殿寺の手前の石碑が見えてきます。

「坂東三十三箇所霊場第二番札所 岩殿観音」と書いてある碑です。

 

岩殿寺には、逗子で療養していた泉鏡花もたびたび訪れています。

岩殿寺縁起

岩殿寺の歴史は、聖武天皇の勅願によって大和の国の長谷寺の開山・本願徳道上人が、この地に下向されたことに始まります。

本殿前から南海を見渡せることから、山を海前(今は海雲山)と名付け、岩窟が自然の殿堂のようであったので、寺号を岩殿寺としたそうです。

花山法皇が来山して、自ら導師となって百僧法要御供養を営まれ、また、後白河法皇が来山した時は、ここを坂東三十三ヶ所第二番の霊場と定められました。

 

鎌倉幕府を創設した源頼朝や、3代将軍実朝からも厚く信仰され、将軍家から手厚く保護されたそうです。

やがて岩殿寺は荒廃しましたが、江戸幕府を開いた徳川家康によって保護され再興しました。

 

岩殿寺は、関東各地にある「坂東三十三観音」の第二番札所になっています。

坂東三十三観音 公式サイト

 

岩殿寺入口では、拝観料100円を支払って入ります。管理人の他には誰もいませんでした。

 

入り口付近には、「犬の入山を禁じます」の案内があります。犬を抱いての入山も禁止されてました。

 

山門入口を入って左に少し進むと「海雲山 岩殿寺」の本堂があります。

 

本堂です。「納経所」はこちらになります。

 

寺内にある休憩所?は本堂の近くにあります。

 

本堂近くにある慈母観音と慈父観音です。

岩殿寺観音堂・利生堂・地蔵

本堂を見学した後は、階段をのぼって奥へと進んでいきます。

境内には、階段が多いです。

 

明治から昭和初期に活躍した作家の泉鏡花は、逗子に住んでいた頃に寺を訪れてましたが、この寺の住職との対話をもとに作られた作品が「春昼」です。

 

「利生堂(八角堂)」は、本堂を出た近くにあります。

 

途中にお地蔵様や報恩供養碑があります。地蔵は「子育地蔵尊」です。

 

階段を登った先にあるのが「観音堂」です。観音堂は逗子市の重要文化財に指定されています。

 

岩殿寺縁起

「岩殿寺は坂東三十三観音札所の第二番で、縁起によれば、養老年間(717~724)行基が開創し、花山法皇や後白河法皇も来山されたと伝えられる古刹です。また、鎌倉時代には将軍家の信仰が厚く、『吾妻鏡』には頼朝、政子、実朝らが参詣したと記されています。

現在の観音堂は、棟札によると享保十三年(1728)に時の住持萬英和尚が勧進により再建したもので、造営の大工は鎌倉の蔵並杢之助藤原政吉と工匠清右衛門でした。

桁行三間、梁間五間の寄棟造で比較的小規模なものですが、中世以来の伝統的な密教本堂形式をとりつつ、細部の構造は十八世紀前半の特徴をよく反映しています。

当堂は単に逗子市内の古建築であるだけでなく、鎌倉地方の近世建築の様式的展開を知る上で一基準となる重要な建築であると考えられます。

なお、昭和六十三年の修理工事により、茅葺きから銅板葺となりました。

逗子市教育委員会」

歴史があるからなのか、境内には供養塔がたくさんありました。

 

左が稲荷明神社で、右が猿田彦神社です。

 

岩殿寺の名前の由来となったといわれるのが「奥の院岩殿観音」です。

奥の院岩殿観音には、行基が彫ったという十一面観音が祀られてます。

 

熊野権現社です。岩殿寺はお寺ですが、境内には社と名の付くものがいくつかあります。

 

階段の数が結構ある高台なので、境内からの眺めはまあまあでした。

岩殿寺まとめ

住所 神奈川県逗子市久木5丁目7−11

交通 JR横須賀線「逗子駅」徒歩15分

創建 徳道上人

宗派 曹洞宗

本尊 十一面観音

 

岩殿寺は、逗子八景の一つにも数えられています。