日本で起きている老後問題の現実と生活保護への批判問題

老後破産の現実をテーマにした動画を観ました。

ニュースはネットで知ることができるので、今ではテレビをほとんど見なくなりましたが、こういったテーマの時は実家に帰ってでも観ます。

4人に1人以上が高齢者の現在の日本では、老後破綻とか老後難民といったことに興味を持つ人が多く、またこの手のテーマは視聴率がとれるようで、たびたびネットでも取り上げられています。

 

その動画の中では、年金が著しく低く、頼れる人もいない生活保護水準で暮らす高齢者を「下流老人」と呼んでいました。

年金の支給は2か月ごとなのですが、支給された年金は次の年金支給日の数日前には無くなってしまい、野草を食べて飢えをしのいでいる年金受給者がいるという部分は衝撃的でした。

年金や生活保護以外から収入を得るのは難しいので、この動画が真実であれば、これから先死ぬまで野草を食べて飢えをしのがなければならないことになります。

高齢者世帯の80万世帯以上が生活保護に頼っている

日本では働き世代が減少していますが、生活保護受給者は年々増加し続けています。

生活保護を受ける高齢者世帯は、80万世帯を突破してると言われています。

 

高齢世帯の増加によって社会保障費も毎年増加してますが、今の日本ではこの負担を上回る経済成長を期待するのはまず無理です。

 

安部首相は、1億総活躍社会とか生涯ずっと働ける社会をと言ってましたが、裏を返せば社会保障費だけでは老後の生活が成り立たないので、一生働き続けなさいと言っているようなものです。

 

日本の年金制度が問題になった原因は、公的年金制度が成立した頃と今とでは状況が大きく変わっているからです。

 

公的年金制度の発足時は、15人の労働者で1人の高齢者を支えるといった状況でした。

また、当時は平均寿命が短く、今のように老後20年生きるということはほとんどありませんでした。

その後、合計特殊出生率は2を大きく割り込んで、どんどん子供の数は減っていき、今では3人未満の労働者で1人の高齢者を支える状況になりました。

社会保険も状況に合うよう毎年のように改正されていますが、よくなることはなく、日本経済にとっては毎年悪い方向に向かっています。

 

何より今の日本の社会システムは、人口が増加する前提で構築されています。

国民の負担が増えるということは、今後益々下流老人になるリスクが高くなることにつながります。

下流老人にならないためには、早いうちから対策しておく以外に方法はありません。

 

小田原市職員の生活保護受給者への差別問題

少し前には小田原市の生活保護担当者が、「保護なめんな」と書いてあるジャンパーを着用して仕事していたということがニュースになって話題となりました。

ニュースによれば、2007年の7月に生活保護を打ち切られた受給者が、刃物を振り回して小田原市の職員にケガを負わせる事件が発生したそうです。

このことがきっかけとなって、小田原市の職員が職員間の連帯感高揚のためにジャンパーを作ったそうです。

 

生活保護に対しては批判も多いですが、本来は憲法の生存権によって導かれる最低限度の生活を保障する制度です。それを職員自ら制限するのはおかしな話です。

 

それならいっそ、生活保護者に仕事を与えるためにも、生活保護者を市の職員として雇用してみてはどうでしょう。

できることから始めて自立させるのも市の職員の仕事です。

 

最近あった裁判では、外国人にまで生活保護を対象としていないという判決がありましたが、今でも多くの外国人が生活保護を受給しているということがニュースになりました。

変なジャンバーを着て威張るよりも、受給者の家を回るなどして実態を調査した方がいいのではないかと思います。

 

8050問題

記事を出稿するために本や雑誌を読んでいたら、「40代・50代の引きこもりが親と共倒れの危機」といった内容の記事を見つけました。

いわゆる8050問題です。

8050問題というのは、就職氷河期の世代(50歳くらい)の引きこもりが、その子を支えてきた80歳くらいの親の死によって共倒れとなることです。

北海道では、親が死んだことで孤立した子も飢え死にするという事件がありましたが、この事件は孤立する就職氷河期世代の問題を浮き彫りにしました。

 

元気な親が援助してくれるからこそ子供が家に引きこもれるのですが、親の収入が年金だけになるとこのような生活は難しくなります。

8050問題は、ニュースでも大きく取り上げられることも多いのに、解決の糸口が見つかる様子はありません。

 

ある市町村では最初からこの問題を諦めていて、生活保護者や引きこもりの社会復帰の担当者に新人職員をあてるそうです。

引きこもりが増加した2000年代を20代として過ごした若者は、そろそろ40代を迎えるころですが、親の世代も定年を迎えて年金を受け取る年齢になってきます。

 

貧乏な親は子を貧乏に育てるという問題にもよく似ています。

 

問題だらけの日本

今から15年後の日本では、女性の半分以上が50歳以上になるそうですから驚きです。

 

将来的には、1.3人の労働者で年金受給者1人を支える時代になるといわれていますが、今まで非正規雇用でしか働く機会を与えられなかった人に高齢者を支えさせるというのは無理があります。

ただでさえ世界一位といわれる税金大国の日本で、毎日ギリギリの生活で暮らしている現役世代が増税や社会保険料アップに耐えるのは難しくなっています。

 

そういえば先日、生活保護受給者の社会復帰についての話をうかがってきましたが、市町村の職員が就職のアドバイスをしても生活保護受給者は生活保護の方が楽だから働かないそうです。

指導しても生活保護受給者にやる気がないから職員も諦めているそうです。

親子で生活保護だと20万円もらえますが、働いたら生活保護以下しか稼げないそうです。

 

これなら働かないのは当たり前かもしれません。

 

就職氷河期でも毎月一定額を投資に回していれば老後問題は防げたのですが、何も有効な政策をしなかった政治家ばかりだったことが残念です。