前回、法性寺まで来ましたが、せっかくなので少し足を延ばして「お猿畠の大切岸(おさるばたけのおおきりぎし)」と「まんだら堂やぐら群」に行くことにしました。
お猿畠の大切岸とまんだら堂やぐら群は、法性寺山上の奥にある「名越切通(なごえきりどおし)」から行きました。
鎌倉時代に鎌倉へと続く主要な七つの道を「鎌倉七口」と呼んだそうですが、名越切通は鎌倉七口の一つです。といっても実際には江戸時代に決められたみたいです。
名越切通は、鎌倉七口の中でも「朝比奈切通」と並んで当時の面影を色濃く残しているといわれます。
名越切通を伝ってお猿畠の大切岸へ
法性寺の山上裏手に名越切通へと続く道があります。
名越切通の道はこんな感じです。どこにでもあるハイキングコースといったところです。
実際に切通を歩いてみると、足元がぬかるんでる箇所も多く、管理人は滑って膝を怪我しました。
名越切通は、国指定史跡になっています。
『名越切通は、鎌倉から相模湾沿いに三浦半島を結ぶ交通路で、「吾妻鏡」天福元年(1233)8月18日条に「名越坂」として初めて登場し、明治時代になって直下を通る現在の横須賀線や県道のトンネル(小坪トンネル?)が開通するまで、長い間幹線道路として使い続けられた重要な道です。
急峻な尾根を掘り割って造られた切通は、時代が下るにつれて通行しやすいように改修したり、地震等で崩れては復旧を繰り返しているため、鎌倉時代の姿そのものではありません。しかし、その周辺には、横穴式の供養施設であるやぐらが約150基も集中する「まんだら堂やぐら群」や、死者を荼毘に付した跡など、中世の葬送に関する遺構が数多く分布するほか、切通の防衛にも関係すると考えられる人工的な平場や大規模な石切場跡(大切岸)が尾根筋に見られるなど、古都鎌倉の周縁の歴史的景観をたいへん良く残しています。』
案内板より
お猿畠の大切岸は、法性寺の奥から歩いて4,5分もあれば着きます。石切り作業場としても歴史的な価値がある史跡だそうです。
「お猿畠の大切岸は、長さ800m以上にわたって高さ3~10mの断崖が尾根に沿って連続する壮大な遺構です。従来、鎌倉幕府が三浦一族の攻撃に備えて鎌倉の守りを固めるため、切通の整備とあわせて築いた防衛遺構だと言われてきましたが、平成14年度の発掘調査で、大規模な石切作業の跡だということが確認されました。これによって鎌倉防衛の役割が完全に否定されたわけではありませんが、鎌倉では14~15世紀頃の建物基礎などに切石を大量に使用しており、ここはその頃の石材生産地だったと考えられます。なお、お猿畠という地名は、鎌倉を追われた日蓮がこの付近で三匹の白猿に助けられたという伝承に因むものです。」
案内板より
お猿畠の大切岸の案内板が設置されている付近から見た街の様子です。
方角的に逗子市街地でしょうか。
お猿畠の大切岸の遺構の前の道から撮った市街地ですが、角度を少し変えると海も見えました。
案内板から少し進んだ先に石切場跡があります。こんな感じの崖が800m以上も続いています。
お猿畠の大切岸の崖の高さは、3~10mにもなります。
崖の前の道を歩いていると、木くずのようなものが道を作っていて、クッションの上を歩いているような感触でした。
この大切岸は、最初は三浦氏による防衛の建造物といわれていました。
石廟(鎌倉市指定文化財)
次は、名越切通を通って「まんだら堂やぐら群」へ向かいます。
途中に石廟があったので立ち止まって写真を撮りました。
途中にあった石の建造物です。近くには「市指定 石造建造物石廟 二基」の看板があります。
まんだら堂やぐら群のやぐらというのは昔のお墓や供養洞穴のことです。
岩を掘って、その中に供養塔や遺骨が入れられたそうです。
まんだら堂やぐら群へ
やぐら群に向かう途中に立派な洋館が建ってました。こんな不便なところに建ってるなんて不思議です。
途中の案内標識にはまんだら堂やぐら群の文字があるのであまり迷わないと思います。
しかし、よく見ると案内標識のまんだら堂やぐら群の横に閉鎖中の文字が……。
まんだら堂やぐら群は、基本的には閉鎖中ですが、季節ごとに限定公開されることがあって、この日も午前10時から午後4時まで公開してました。
以前、訪れた時は閉鎖されてましたが、そのときに撮った写真です。扉には「限定公開」の文字があります。
お猿畠の大切岸から7,8分くらい歩いた先にまんだら堂やぐら群の入口があります。
まんだら堂やぐら群にあるやぐらの数は、150以上といわれ、これだけ大規模なものはかなり珍しいそうです。
2018年秋は、10月20日から12月17日のうちの土日月祝日に限定公開しています。
公開時間は、午前10時から午後4時までです。
まんだら堂やぐら群の公開については、逗子市のホームページで調べられますので、リンクを張っておきます。
やぐらを十分に見学した後家に帰りました。