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山岡荘八歴史文庫「伊達政宗」

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図書館で「まんが 伊達政宗」が、小学生におすすめの漫画として紹介されてました。

まんが伊達政宗を手に取ってしばらく読んでみて分かったのですが、「山岡荘八 伊達政宗」を原作にしている作品でした。

 

そういえば、伊達政宗は昔読んだなと思い、押し入れを探しましたが見つからず、ないとなると急に読みたくなって仕方なく通販で購入しました。

伊達政宗全巻

 

「山岡荘八 伊達政宗」は、難しい言葉はほとんど出てこないですし、文体も読みやすいので、歴史に興味を持ち始めた人にもおすすめです。

伊達政宗は、歴史上の人物では常に上位の人気武将ですが、政宗を題材にした小説はそれほど多いわけではありません。

この小説は、政宗が産まれる前から、畳の上で息を引き取るまでなので、政宗が経験したほとんどのイベントを知ることができます。

政宗は東北の英雄なので、特に東北の人に読んでほしい作品です。

 

伊達政宗(1) 朝明けの巻

伊達政宗は、永禄十年(1567)に生をうけましたが、この時、織田信長は34歳、秀吉は32歳、三英傑で一番若い徳川家康でも26歳です。

あと二十年早く生まれていれば天下取りに名乗りを上げたであろう、東北地方屈指の英雄伊達政宗が主人公の記念すべき第1巻です。

 

政宗誕生から、虎哉(こさい)禅師の教育、父との別れ、人取橋の戦いまで

 

 

・人間の計算と自然の計算とが合致しない時には、いつも人間の方が敗れる。

・機を逸したり、気を失ったりしていたのでは間違いなく敗残者だ。

・機は、天地の働きと人智のそれとがぴたりと合一したおりに熟する。といって、向こうから柿の実のように赤くなって見せてくれるわけではない。薄っぺらな合理主義者の眼には見えない。

・われわれは人間の悲しさで、憎悪という感情で相対した場合、自分の感情がすべてのように錯覚するが、世間の眼は全く別のところにある。

伊達政宗 1巻より

なかなか為にある言葉も多いです。

 

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伊達政宗(2) 人取られの巻

戦上手と知られた政宗ですが、大崎攻めでは敗れています。

「摺上原(すりあげはら)の戦い」で蘆名氏を倒すと、伊達政宗の名は一躍全国区になりましたが、既にこの頃には秀吉の北条攻めが始まろうとしており、蘆名氏討伐の3か月後には秀吉に弁明をして降伏しています。

結局、命がけで取った蘆名氏旧領と黒川城は没収され、今度は会津に転封されてきた蒲生氏郷との知恵比べになります。

秀吉による領地没収が原因で起きた葛西・大崎一揆の平定後は、政宗が一揆を扇動したとされ、減封のうえ領地替えになってしまいます。

労多い割には領地が増えませんが、政宗は恐れられる存在として、一目置かれるようになっていきます。

 

蘆名攻めから、秀吉への降伏と奥州仕置き、蒲生氏郷との対立、秀吉の朝鮮出兵前夜まで

 

 

・常にこの世へお客に来たと思っておれば、われを忘れるほどの憤怒もなく、さりとて一応の行儀作法も保ってゆける。

・人間には無視してならない世渡りの要がある。それは、対人関係を円滑に処理してゆく能力の有無だ。

・人はみな相身互い、そろばんの立たぬ無理はしてはならぬ。お互いに助け合う気がなければ戦わねばならなくなる。下手な戦ほど損のことはないからの。

人生訓みたいなのも多い作品です。

 

伊達政宗(3) 夢は醍醐の巻

千利休、弟秀長の亡き後は、台頭してきた石田三成との知恵比べです。

三成によって関白秀次は切腹に追い込まれ、政宗も三成の姦計によって秀次との嫌疑がかけられ、絶体絶命の窮地に追い込まれます。

 

秀吉が主人公の「豊臣秀吉」でも、「力で天下を取った秀吉と、みんなにお願いされて天下を取った家康」と書いているくらいなので、この作品でも秀吉と三成は損な役回りです。

作者は家康好きの秀吉嫌いみたいですが、今作でも家康びいきが目立ちます。

 

三成の姦計をうまくかわした後に待っていたのは秀吉の死でした。

 

関ヶ原の戦い時に天下を狙える実力者は、255万7千石の徳川家康、120万石の毛利輝元、111万9千石の上杉景勝、81万石の前田利家、80万石の佐竹義宣くらいまで。これに続くのは島津義弘の60万石、宇喜多秀家の57万4千石、伊達政宗の50万石です。

秀吉死亡後に天下を統べることができる一番の実力者が家康です。

石高は五大老でもずば抜けて大きく、経験や能力も申し分ないので、政宗も生き残りをかけて家康に急接近していきます。

 

朝鮮出兵、関白秀次の処刑、秀吉の死、関ヶ原前夜

 

伊達政宗(4)

関ヶ原の戦いでは、いち早く東軍として西軍討伐に乗り出し、天下を頂戴しようとしたのが九州の黒田如水でした。

豊後の旧領主であった大友義統が西軍として兵を挙げたので、如水は日頃から節約して蓄財してきた軍資金を一挙に使って3600人の兵を公募します。

如水は、石垣原の戦いで大友軍を破って豊後を平定するも、関ヶ原の戦いは予想に反して一日で勝敗が決してしまいました。さすがに天下一の軍師も見抜けなかったようです。

 

東北では、上杉家の家老・直江山城が最上家の領地に侵入し、長谷堂の戦いが始まります。この時、政宗はどさくさに紛れて南部領に一揆をけしかけますが、失敗に終わります。

政宗に一揆をけしかけられた南部家が訴えたため、再び政宗は追い込まれ、東軍の大名が加増されるのに政宗だけは加増されません。

そんな中、政宗の婿・忠輝の家老・大久保長安が急接近してきます。

 

東北の関ヶ原の戦い、徳川家の幕府政治、政宗の婿松平忠輝、大久保長安の企て

 

伊達政宗(5)

低い身分から徳川家の総代官まで出世した「大久保長安」は、埋蔵金の発掘術で右に出る者はなく、数学にも土木にも経済にも優れ、六十間を一町として三十六町を一里と決めるなど、やることなすこと将軍家のお気にいりでした。

政宗の婿松平忠輝の家老になった長安でしたが、この新しいタイプの天才も大阪方とキリシタン大名の連判状が明らかになったことで破滅していきます。

長安が不安を抱えたまま急死すると、本田正純によって長安の息子は処刑され、長安に大久保の姓を与えて家康に推挙した大久保忠隣は改易されてしまいました。

 

長安の連判状が発覚したことで、政宗の娘五郎八姫は忠輝と離縁となります。

同じ年、ローマ法王とイスパニア国王への信書を携え、支倉常長が使者として出発します。

 

 

岡本大八事件、高田城の築城、大久保長安事件、本多正信・正純対大久保忠隣

 

伊達政宗(6)

関ヶ原で4分の1の領地になった豊臣家は一大名に転落してしまいました。

関ヶ原から十五年、太閤秀吉が建設した難攻不落の大阪城には、全国から続々と牢人が入城していき、再び戦の世に戻るのでしょうか。

 

6巻では、大久保長安が死ぬと領地は没収され、長安を推薦した大久保忠隣もお家取り潰しにあいます。

長安は政宗の婿・松平忠輝の家老だったので、大久保家と対立する本多正信に政宗も目を付けられ、この事件に巻き込まれていきます。

政宗も家を取りつぶされるわけにはいかないので、知恵を絞って応戦します。

 

大久保家取り潰し、方広寺大仏殿の鐘名事件、大坂の陣の準備、大坂冬の陣

 

伊達政宗(7)

家康は秀吉との約束を守って豊臣家を残そうとしますが、将軍家は豊臣家を取り潰すつもりで動きます。

汚い仕事は秀忠が勝手にやって、家康はどこまでも善人役なので、読んでいて違和感を感じるかもしれません。

 

政宗は、一族の伊達成実、幼少期から一緒の片倉景綱といった良い家臣に恵まれていました。

政宗が49歳の時に、景綱は5か条の遺言を遺して死去します。景綱は最初から政宗の側近として登場していたので、このシーンは感動的です。

 

家康が死んだ後は、土井利勝によって福島家、最上家といった外様大名の領地が狙われますが、伊達家も例外ではありません。

 

大坂夏の陣、豊臣家滅亡、忠輝の領地没収、公武法制、家康の死

 

伊達政宗(8)

最終巻では、死と向き合うシーンも出てきます。

「仁に過ぎれば弱くなる、義にすぐれば固くなる。礼に過ぐれば諂いとなり、智に過ぐれば嘘を吐き、信に過ぐれば損となる。……」とは政宗の有名な言葉が登場します。

 

人生は長い旅として、死は誰にでもある点で平等である。

死に差があるとすれば、それはどのようにして生をむさぼってきたかの自覚と反省の差だけであろう。

元来客の身なれば、好き嫌いは申されまじ、今日の行くをおくり、子孫兄弟によく挨拶して、娑婆のお暇申すべしと言って、あの世に旅立つのは政宗らしくて良かったです。

やっぱり人間は死ぬ間際に試されているのかもしれません。

 

外様大名の取り潰し、支倉常長の帰還、徳川和子の入内、保春院の死、政宗の死

 

まとめ

1冊読み終わるごとにまとめてたら、何だかんだで読み終わるのに3か月以上かかってしまいました。

伊達政宗は、全部で8巻までありますが、文体は読みやすいですし、字も大きいので、意外とサクサク読み進むことができます。

 

山岡荘八作品の中では、徳川家康の次に有名な作品かもしれません。

この作者は、秀吉をあまり評価しておらず家康に肩入れし過ぎと感じます。小説太平洋戦争でも脱線することがありましたが、個人の意見として読むのがいいと思います。

とはいえ、読みやすいので夏休みの読書感想文にもおすすめです。

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