若い人からの評判がよくない日本の年金制度ですが、「年金制度が給付と負担のバランス」を理由に見直されることがあってもなくなることはまずないでしょう。
「高齢者の定義が70歳になる」「今の世代は保険料の負担ほど年金を受け取れない」等が議論されていますが、もし仮にそうなったとしても年金制度は維持されるはずです。
であるならば、年金制度を理解したうえで、老後の対策を立てることが必要です。
まずは自分が加入している年金制度や受給資格を確認しておくことから初めるのが大事です。
老後に年金を受け取るための条件は?受け取れない場合もある?
年金の額は置いといて、将来年金を受けるため、まずは「老後に年金を受給」するための要件を満たす必要があります。
①国民年金保険料を実際に納付した期間と厚生年金に加入していた期間を「保険料納付済期間」といいます。
②所得が低かったり、学生の期間で保険料を免除されていた期間を「保険料免除期間」といいます。
③国民年金に任意加入しなかった期間でも対象期間になることがありますが、こういった期間は「合算対象期間」といわれます。
合算対象期間にはいろいろありますが、ほとんどの人は①保険料納付済期間と②保険料免除期間で要件を満たせます。
この①と②と③を足した合計が10年以上あれば、とりあえずの老後の年金の要件は満たします。
ちなみに、厚生年金の人も国民年金の被保険者になります。
厚生年金は、国民年金の受給要件を満たしていれば、厚生年金に1月しか加入していなかったとしても、その分の厚生年金が給付されます。
・国民年金を受けるには、10年以上加入していること
・厚生年金は、1か月でも受けられること
かなりややこしいですよね、年金制度は。
自分の年金の加入状況を知る方法にはどんなのがある?
ご自身の年金加入状況を知る方法として代表的なのは、「ねんきん定期便」です。
ねんきん定期便は、毎年1回、誕生月に送付され、これまでの加入記録や、50歳未満であれば加入実績をもとに年金額が分かるようになっています。
35歳、45歳、59歳の人には、人生の節目として封書で詳しく記載したパンフレットとともに届きます。
それ以外にも年金事務所や年金ダイヤルを利用しても加入記録は調べられます。
公的年金以外の年金?年金の種類にはどんなものがあるか
ここまで国民年金と厚生年金といった公的な年金の話をしてきました。
老後がなぜ問題なのかは、公的年金だけでは生活できないといわれるからです。そこで重要なのが公的年金以外の年金です。
公的年金以外の年金には、他にも企業が実施する企業年金や、個人がそれぞれ加入する個人年金といったものがあります。
企業年金で代表的なものには、確定給付企業年金と確定拠出年金があります。
どちらも企業が実施していないと対象になりませんが、確定拠出年金の個人型なら自分で加入することができます。
確定拠出年金は自分で運用するので、うまくいけば老後資金を殖やすことができます。
追記:確定拠出年金の個人型はiDeCoに名前を変えました。
中小企業退職金共済制度や小規模企業共済といった制度もありますが、これらは中小企業のための制度で個人向きではありません。
他の上乗せ年金には、保険会社が販売する個人年金保険があります。
個人年金保険の代表的なものには、契約時に将来の受取額が決まってる定額年金と運用成績による変額年金があります。
自分の意思で加入できるのは、個人型の確定拠出年金と個人年金保険です。
今は民間の保険がよくないので、iDeCoを優先させるのがいいでしょう。
公的年金で不足する老後資金をどのようにして準備するか
ライフプラン相談を受けていると、将来に資産がマイナスとなる可能性があるのは圧倒的に老後です。
老後世帯の平均支出が26万~27万円といわれているので、年金収入がその金額を下回る場合は老後資金対策が必要ということです。
豊かな老後には38万円が必要ともいわれています。
現在の年金は平均が20万円を少し上回る程度なので、平均すると毎月6万円~7万円が不足する計算です。
不足する家庭では、生活水準を下げたり、自宅を売却して安い賃貸に乗り換えたして乗り切るのが普通です。
また、今の現役世代が受け取れる年金はもっと下がる可能性が高いです。
あとは老後までに資金を作ることですが、おすすめなのは一生働き続けることです。そのためには自分のビジネスを持っている方が有利です。
老後資金の作り方には、貯金、株式、債券、投資信託、不動産、私的年金といった投資でもできます。というより普通は投資で形成します。
若いうちから貯金しかしらない人は、老後資金が不足しやすいです。
人生100年時代は大きなリスクとなるか
「100年時代の人生戦略」という本によると、「2007年に生まれた子供の50%は107歳まで生きる」そうです。
本当かウソかは分かりませんが、そうなったら寿命が延びるほど社会保障費が増大化していくので、少なくてもこのままだと社会保険の給付と負担のバランスはとれなくなります。
年金の減額か支給開始年齢のさらなる引き上げは不可避といえそうです。
これからの時代、生涯現役、少なくても働けるうちは働き続けないと生きていけなくなるでしょう。
60歳で退職した後は、海外で悠々自適なんて生活はどこにいってしまったんでしょう。
外国語を身につけて海外に移住するのもいいかもしれません。