映画「全員死刑」を観ました。
映画全員死刑の原作は、「我が一家全員死刑」という本のようですが、この本は実際に福岡県大牟田市で起きた殺人事件が題材になっています。
この殺人事件は、通称「大牟田4人殺害事件」といわれる事件で、映画も書籍も最初の殺人から逮捕されるまでの5日間を描いた内容になっています。
今までにも殺人事件を題材とした小説は多く出版されてますが、我が一家全員死刑は獄中にいる犯人が送った手紙をもとにした少し珍しい作品となっています。
大牟田4人殺害事件の概要
「大牟田4人殺害事件」は、2004年9月に福岡県大牟田市で起こった殺人事件です。
犯人は、大牟田の暴力団「北村組」組長の北村實雄(じつお 60)、妻・真美(45)、長男・孝(23)、次男・孝紘(20)の一家4人です。
被害者は、北村家と家族ぐるみで親交があった闇金業者の高見小夜子さん(58)、長男の龍幸(18)さん、次男の穣吏(15)さん、そして、龍幸さんの友人の原さん(17)の4人です。
4人の殺害は、実に自己中心的で場当たり的に行われました。
当時の北村一家は、金貸し業をしていた高見小夜子さんに借金をしており、北村家の家計は火の車だったといいます。
小夜子さんは、北村家の威を借りながら闇金業で主婦を相手に金を貸すダークな仕事をしていたそうです。
北村一家にとって、被害者の高見小夜子さん一家は、やくざの専売品である暴力を利用しながらも、無届の街金で得た金を還元しない「許せない」存在だったに違いない。北村一家の理論では、鉄槌を食らわせるに十分な人間だったのだ。
北村家の言い分としては、自分たちのおかげで闇金業で儲けることができたのに、自分たちに分け前をよこさないのはけしからんから殺されて当然、というわけです。
まず、最初に被害者となったのは、高見家の次男穣吏さんでした。
長男の孝がどこからか高見家に2000万円の現金があるということを聞きつけ、次男の孝紘を焚きつけて穣吏さんを殺害させます。穣吏さん殺害については、両親は知らぬところで兄弟だけで行われました。
穣吏さん殺害後、ブロックをロープで結び付けて橋の上から遺体を川へ突き落しました。
長男は、過去にリンチ殺人を犯してますが、3年6か月の懲役で出所してるようです。
穣吏さん殺害後、兄弟は母親から電話で呼び出されたため、北村組事務所へ行ってみると睡眠薬で眠らされた高見小夜子さんがいました。
この時には、父實雄と母真美は小夜子さんの殺害を決めていたといいます。
父・母・長男・次男で話し合った結果、大牟田川の緑地公園へと場所を移すこととなり、公園に移った後、次男が小夜子さんをワイヤーで絞殺しました。
4人の殺害はいずれも次男が実行役となってます。
小夜子さん殺害後、北村一家は小夜子さんの財産を物色するために高見家へと向かいます。
高見家へと向かった北村一家は、向かう途中で高見家の長男龍幸さんも殺害することを決めていたといいます。
高見家に着く手前15メートルで向こうから車がやってきたので、運転手を確認してみると龍幸さんでした。
タイミングを見て孝と孝紘は龍幸さんの車に乗り込むと、車には龍幸さんの友人の原さんも乗っていました。
龍幸さんが友人と一緒だと、孝が父實雄に相談すると、實雄の返事は二人の殺害命令でした。
孝の運転で人気のない場所に移動した後、龍幸さんと原さんの二人は孝紘が持っていた銃で頭を撃たれて殺害されます。
龍幸さんの車に小夜子さんの遺体を乗せ、諏訪川に移動して3人を乗せた車を川へ沈めました。
2004年9月21日、諏訪川で高見穣吏さんの変死体が見つかったことから、北村真美が警察に呼び出され、自供したことで事件が発覚しました。
最初に被害者となった次男の穣吏さん殺害から4人目の龍幸さん殺害までたった二日しかかかっておらず、母親が自供するまでも最初の殺人から5日しか経ってませんでした。
逮捕後
父親は、出頭した後、持っていた銃で自殺を図りましたが、弾丸は頭蓋骨を一周して奇跡的に一命を取りとめます。
長男は、拘置所から脱走を図りましたが直ぐに捕まりました。
人の手にかかるくらいなら腹を切ると言っていた次男の孝宏もトイレットペーパーを飲み込んで自殺未遂を図っています。
逮捕後、福岡地裁では一家全員に死刑判決がされ、4人はそれぞれ控訴しました。
二審で控訴が棄却されたため、4人は上告しましたが、最高裁でも死刑判決が支持され、2011年10月、上告棄却により一家全員の死刑が確定しました。
現在、一家は死刑囚として収監中です。
映画「全員死刑」を観て
小説「我が一家全員死刑」を読んで最初に興味を引いたのは、父親の北村實雄が拳銃を頭に撃って自殺を図るシーンでした。
實雄が撃った弾丸は、頭の皮膚と頭蓋骨の間をぐるりと回って額で停止し、おかげで實雄は一命を取りとめたといいます。
想像しただけで気色悪いシーンですが、映画でもこのシーンはしっかりと描かれてます。
作品では、次男の北村孝紘役が主人公なのですが、実際の犯人は映画のようなイケメンではありません。
映画に対するネット上の評価は微妙みたいですが、殺された次男がユーチューバーなのと、殺した次男がイケメンになってる以外は原作に忠実でした。
この映画の監督はユーチューバーがお嫌いのようです。
小説「我が一家全員死刑」を読んで
この作品は、次男の孝紘が著者に送った手紙が元になってます。
読んで思ったのは、この家族は最初から最後まで自分達のことしか考えてないということです。
殺害計画は全て思いつきで実行されており、たった400万円のために4人もの人が2日間で殺されています。
別の本には、死刑は更生の余地がないことを国家が認めたものだと書いてありましたが、確かにこの事件の犯人はとても更生しそうにありません。
自分さえよければ、友達であっても何の躊躇いもなく殺してしまうし、その場に居合わせただけの他人の命まで奪ってます。
しかも、殺人実行役の孝紘は、人を殺す際に興奮を覚え、人を殺すことが楽しくて仕方ないとまで言っています。
また、訳のわからない理屈で自分を正当化しています。
「被害者たちをかわいそうとは思いますが、申し訳ないとは思ってないです。殺されたのも運命、私が死刑になるのも運命。それに私はヤクザです。親分の命令は絶対なんです」
作品を読んでも犯人があまりに自己中心的過ぎるので、同情するシーンが一切ありませんでした。
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