年金事務所から呼び出しを受けた

2018年2月某日、年金事務所から「調査の通知」と書かれた手紙が送られてきたので年金事務所に行ってきました。

結構遠いので面倒くさいですが、指定された日の都合が悪い場合は日程を調整してくれます。

調査のために必要書類を用意して持参するように書いてあります。

 

初めての人は何事かと驚くかもしれませんが、社会保険の手続きがちゃんと行われているか確認するだけのものです。

年金事務所の調査は定期的に行われている

年金事務所の調査は、法律で備えておかなければいけない書類や手続きがしっかり行われているかを見るために行います。

なので、悪いことをしたから呼び出されるわけではありません。

社会保険料を滞納しているとかの場合は、督促状が届いたり、延滞金を支払えといった話なので、今回の話とは全くの別物です。

また、国民健康保険や国民年金の滞納は、管轄が異なります。

 

会社にこのような通知がきたら驚くかもしれませんが、法律で定められた書類が備えてあれば大したことはありません。

分からなかったら電話で聞けば丁寧に教えてくれるはずです。

 

呼び出しを受けるのは、会社の担当者や経営者なので、個人が呼び出しを受けるものではありません。

個人が会社に転職した場合は、会社が手続きをしてくれますし、専業主婦の奥さんも会社を通して手続きをしてくれます。

厚生年金については、個人が自分で行うことはあまりないと思います。

年金機構の調査で必要な提出した書類

調査では、「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」といった、いわゆる「法定三帳簿」が必要です。

これら三つの帳簿については、法律で備えることが決められています。

また、社会保険の各種届出の決定通知の綴や源泉徴収簿なども必要です。

 

源泉徴収簿というのは、会社が給料から税金を源泉徴収して、社員のかわりに支払った源泉徴収を記録した書類です。

社会保険の各種決定通知は、被保険者の取得届や算定基礎届などのことをいいます。

労働者を雇ったら法定三帳簿が必要

特に法定三帳簿は、社会保険の基本的な情報です。

労働者を雇ったときに備えておかなければならないと法律で定められてるのが「法定三帳簿」になります。

 

労働者名簿には、雇った労働者を記入します。

 

賃金台帳は、被保険者に賃金を支払った都度記入しないといけません。

 

出勤簿については、会社は労働者の労働時間を適切に管理する義務があるので、労働者一人一人の勤務時間の記録が必要です。

よくあるのがタイムカードですが、タイムカードで入退出を記録することに換えることもできます。

タイムカードでなくても労働者の労働時間を適切に管理することができれば別の方法でも構わないとされています。

 

法定三帳簿といった労務管理に関する書類には、保存期間の義務も設けられています。

厚生労働省による法定三帳簿の様式

 

調査では、実際の賃金と申告額に整合性が取れているか、被保険者の取得喪失が適切か、外国籍だからといって適切に管理しているか(社会保険や労働保険では、国籍が問題にはならない)、といったことが見られます。

実態と申告が異なったり、法律の扱いと違っている場合は、本来の法律を適用するなど、さかのぼって保険料を請求されることもあります。

厚生労働省の主要様式ダウンロード

 

法人を設立しても社長一人なら法定三帳簿は不要

法定三帳簿は、労働者を雇ったときに備え付けるので、社長が一人しかいない一人社長の会社では必要ないことになります。

一人社長の会社の場合でも、源泉徴収簿が必要になります。

社会保険料の納付記録は、年金事務所に会社名と企業の番号を伝えれば直ぐわかります。

詳細については年金機構に聞けば丁寧に教えてくれます。

 

社長が一人の会社でも新しく人を雇用した場合は、被保険者取得届と法定三帳簿が必要になります。

社長が一人なら原則労災保険と雇用保険の対象になりませんが、労働者がいる場合は加入が必要です。

一人社長で役員報酬が1円でも社長は厚生年金の被保険者になるのか

会社を設立したばかりだとなかなか売上が上がらないことはよくあることだと思います。

そんな場合でも役員報酬として1円でもあれば、理論的には社長は厚生年金と健康保険の被保険者になります。

しかし、実際は年金事務所で異なるようです。

管理人が訪れた年金事務所では、1円でも報酬があれば被保険者になるそうですが、1円では被保険者にならないという年金事務所もあります。

職員がよく分かってないことも多く、電話だと保留になることも頻繁にあります。

 

売上がなくて自分に払う給料がない場合は、厚生年金と健康保険の保険料は納付することにして、給料は未払いといった形で処理することもあります。

未払いの給料といっても、一人社長の会社で自分への給料支払いのことなので、売上があったときに未払い分の給料を受け取るといったことが行われています。

つまり、売上がない最初は、社会保険料だけ納付して、社長への給料は未払いにしておくということです。

社会保険料の納付が遅れると翌月に督促状が届くだけでなく、社会保険料が延滞金の対象になるので、苦しい状況でも支払った方があとで苦しまないと思います。

 

最初のうちは売上がないのはよくあることですが、売上がないのに社会保険料と税金がかかるのは納得いかないかもしれません。

会社立ち上げのときは、会社の事業が軌道に乗るまで役員報酬を最低レベルにしておいて、社会保険料を抑えるといったことも行われています。

 

厚生年金と協会健康保険の保険料率は決まっています。

また、厚生年金と健康保険の報酬には最低レベルが設定されています。

例えば、月々の報酬が5万円とかでも、社会保険料の最低ランクはそれぞれ、88,000円(厚生年金)と58,000円(健康保険)なので、社会保険料は合わせて2万円を超えることになります。

複雑な手続きは専門家の手を借りるという方法も

ちゃんと決まったルールにのっとって社会保険料の手続きをしていれば、調査の呼び出しを受けてもすぐ終わります。

 

問題は、知らずに間違った手続きをした場合です。

社会保険と税金は複雑なので、社会保険労務士や税理士といった専門家に任せた方が無難です。