十代の頃に読んだ「徳川家康」がきっかけで山岡荘八作品を読むようになり、今読んでいる「徳川慶喜」を読み終われば、山岡荘八歴史文庫100巻の全読破になります。

中学生の頃に吉川英治「三国志」を読んだのがきっかけで小説を読むようになり、山岡荘八「徳川家康」で日本の歴史小説にはまりました。

その後も司馬遼太郎作品、池波正太郎作品、山本周五郎作品、陳舜臣作品などを読んできましたが、山岡荘八作品は日本の歴史に興味を持つきっかけになったので、特に思い入れがあります。

 

「山岡荘八 徳川家康」は、韓国や中国でも読まれていて、世界で最も長い小説としてギネスブックにも記録されています。

山岡荘八作品というと、どうしても徳川家康を思い浮かべてしまいますが、他にも名作はあります。

今回は管理人が実際に読んで面白いと思った山岡荘八作品の5作品を紹介します。

面白い山岡荘八作品ベスト5

山岡荘八作品を全て読破した管理人が、独断と偏見で個人的にベスト5を発表します。

 

管理人がおすすめする山岡荘八作品

徳川家康

小説太平洋戦争

伊達政宗

織田信長

豊臣秀吉

 

これら5作品は、管理人が単純に面白いと感じたのはもちろんですが、普段歴史小説を読まない人にもおすすめできることを考慮しています。

なので、小説太平洋戦争を除いて、誰でも知っている歴史上の英雄が題材となっています。

徳川家康

やはり一番のおすすめ作品はこの作品です。

小説「徳川家康」では、家康の父が松平家を継いだところから始まります。

徳川家康は、今川家から独立した後に徳川を名乗りましたが、もともとは三河(愛知県)の松平という家の出身でした。

祖父は、東三河一帯を支配した松平清康でしたが、守山崩れとよばれる事件で家臣に殺害され、25歳の若さで亡くなってしまいました。この守山崩れがきっかけで松平家は受難の時代に突入します。

 

清康の跡を継いだのが家康の父の松平広忠でした。

広忠は10歳で家督を継ぎましたが、清康のように才気煥発ではなかったので、東の大国今川家に従属することになります。

その後、家康が生まれますが、家康が6歳の頃、今川家に人質として送られることになります。

広忠は、不安定でしたが何とか三河の経営をしていったものの、24歳のときに父と同じように家臣によって殺害されてしまいました。

 

作品では、この辺りから家康を中心に物語が進んでいき、家康が亡くなるまでが描かれます。

非常に長い小説ですが、戦国時代の流れを知るにはもってこいの作品だと思います。

小説太平洋戦争

小説太平洋戦争は、その名の通り太平洋戦争を題材にした小説です。

これはという主人公はいませんが、近衛文麿や東条英機といった有名人も登場します。

どのようにして太平洋戦争が開戦されたのかや、技術力や工業生産力で劣る日本がどうしてあそこまで恐れられたのかも分かります。

日本人にはなじみのない軍人も出ていますが、英雄と呼べる人物はあまり出てきません。。

日本人の兵隊がいかに凄かったかが分かるのはいいのですが、作者のエキサイトした意見もしばしば出てきて山岡荘八作品にしては珍しいと思いました。作者は戦争を経験した人なので、現代人からみると思想が偏って見えることもあります。

 

戦国時代や幕末に詳しい人は多いのですが、太平洋戦争は日本人にとって負けた戦争なので、読んでてつらいシーンも多く、あまり詳しく知っている人は少ないと思います。

日本人としては、こういう歴史にこそ向かい合った方が、自虐的な歴史観から脱却するためにはいいのではないかと思います。

 

この作品は、他の4作品と比べて面白いと思うシーンは少ないかもしれませんが、日本人なら知っておくべき歴史なので、あえて紹介しました。是非、読んでみることをお勧めします。

今の日本をアメリカの植民地と揶揄する人がいますが、実際にその通りです。

3位 伊達政宗

伊達政宗といえば、東北を代表する歴史上の人物ですが、好きな武将のアンケートを取ると、最近は秀吉や家康よりも上位にランキングすることも珍しくないようです。

戦国時代の歴史では、中央から遠く離れた東北はほとんど注目されることはありませんが、伊達政宗だけは別で主人公にした作品は多いです。

 

この作品は東北が舞台なので、南奥州の覇者を決めた蘆名家との合戦(摺上原の戦い)なども出てきます。

伊達政宗が誕生したのが比較的遅かったため、どうしても天下統一後の話が中心になりますが、政宗の生まれる前の天文の大乱などにも触れています。

東北の人なら郷土の英雄政宗ついて興味ある人は多いはずです。伊達成実や片倉景綱も幼少から側近として登場します。

 

作者は出身が東北の隣の新潟なので、心情的に東北寄りな意見が多い印象です。上杉家の直江山城守もとても評価しています。

作者は、伊達政宗を信玄や信長にも匹敵する人物として描いています。

この小説を読めば伊達政宗好きになるはずです。

4位 織田信長

織田信長は結構失敗も多いですが、この作品での信長はミスがほとんどない天才として描かれてます。

桶狭間の戦い前までのうつけの姿は、全て周りを欺くための芝居というていです。

それに比べると明智光秀は委縮し過ぎて失敗ばかりでかわいそうに感じました。

 

全体的に文体が読みやすいのでサクサク読めます。

 

5位 豊臣秀吉

山岡荘八作品では、信長・秀吉・家康の人物がそれぞれ魅力的に描かれています。

秀吉はどこまでも明るいキャラで描かれていて、カッコよくはありませんが、ひょうきんで見ていてクスッと笑えるシーンもたくさんあります。

 

物語は日吉と呼ばれていた子供時代から始まります。知恵を絞って行動するシーンがたびたび出てくるのは秀吉らしいです。

無一文の農民から天下人になったというだけあってやっぱり秀吉は面白いです。

 

読んでいて途中から秀吉に対する扱いというか思いに変化があったように見えました。

最初は天才のように描かれていますが、信長横死後はまるで別人を見るようです。まるであほうの扱いです。

また、本能寺後の光秀についても他の作品と明らかに違うので賛否が分かれそうです。

まとめ

管理人おすすめの山岡荘八作品ランキング5

1.徳川家康

2.小説 太平洋戦争

3.伊達政宗

4.織田信長

5.豊臣秀吉

以上のランキングは、2位を除いて馴染みのある人物を題材にした作品です。

歴史小説を楽しく読むには、ある程度知っている登場人物でないと感情移入ができないこともあるので、有名であること、人気があることも参考にしました。

他にも「徳川慶喜」「明治天皇」「徳川家光」など、知名度の割に小説となっているのは少ない人物を題材にした作品もありますが、やはり信長・秀吉・家康に比べて、おすすめという点で落ちる気がします。

 

今回紹介した作品を改めて読み直しましたが、「織田信長」以外は作者の思いが濃く出てると感じました。