ファイナンシャルプランナー、投資アドバイザーといった投資を専門にしている人達は、「ラップ口座」は毎月分配型投資信託と並んで買ってはいけない商品といいます。
ところが、日本投資顧問業協会によれば2018年3月時点のラップ口座は約8兆円程度と過去最高の残高を記録しています。
さらにラップ口座の残高は増加傾向にあり、今後もこの傾向は続くものと思われてます。
団塊の世代が大量に退職した頃から証券会社が力を入れているのがこのラップ口座で、団塊世代の退職金がラップ口座に流れ込んでいるといえます。
ファンドラップ(ラップ口座)とは
ラップ口座(ファンドラップ)では、投資家が証券会社と投資一任契約を締結し、投資家と運用会社の担当者が相談して運用計画を立てます。
実際の資産運用と管理は、投資家の代わりに運用の専門家が行ってくれるので、投資家は投資先に頭を悩ませることなく運用報告書で損益だけを確認するだけで済みます。
運用計画でリスク許容度やポートフォリオを確認します。そして、運用会社の担当者は計画や経済に合わせて定期的に見直しをします。
ファンドラップは投資信託で運用を行うので、分散投資の効果を得ることも可能です。
ただし、投資信託にリスク性の資産が組み入れられていれば、当然ですが基準価額の変動によって損をすることもあります。
投資を始めたい人が最初に直面するのが、リスク、時間がない、知識がない、といった悩みです。
ラップ口座は、一見するとこれらの悩みを解決できそうな気もしないでもありません。
投資はリスクを伴うということが、ラップ口座の増加を加速させています。
ファンドラップで一番問題視されるのが手数料の高さ
ファンドラップで最も問題視されているのが手数料が高すぎるということです。
ファンドラップは、投資信託で運用されますが、投資信託自体がETF(上場投資信託)と比べると高い信託報酬(維持してる間かかる手数料)となっています。
さらにその口座で購入できる商品はその会社が運用している投資信託になります。
自分で投資信託を購入した場合は、購入時にかかる手数料と信託報酬がかかります。
ところがファンドラップの場合は、これらに加えてさらに投資顧問料や投資一任報酬、ファンドラップ手数料などがかかります。
ファンドラップの手数料には、固定報酬型と成功報酬型、その他固定報酬型に加えて成果報酬型と併用するものもあり、ファンドラップごとで手数料に違いがあります。
これらに加えて投資信託自体の信託報酬がかかるほか、運用利益が出た場合は利益に対して税金がかかります。
信託報酬が1%でファンドラップ口座に関する手数料が2%だとすると、合計で何もしなくても資産の3%が流出している計算です。
例えリターンが5%だったとしても、ファンドラップに係る手数料が3%なので2%のリターンしかありません。
分散投資はリスクを抑える効果がある一方で、リターンも抑えることになります。
もしも、ファンドラップのリターンが3%を切るような場合は、コスト分すら稼げないことになります。
元本割れのラップ口座が続出してるのには理由があるわけです。
管理人は、年間の維持費が1%でも高いと思っているので、3%を超える手数料が当たり前のファンドラップは購入対象になりえません。
ファンドラップがおすすめの人は?
証券会社や銀行がファンドラップを勧めるのは、投資信託の信託報酬とラップ口座の手数料が目的だからです。
ファンドラップは、投資家のための商品かと思いきや、実際は証券会社がうまい具合に利益を得るための商品といえます。
何はともあれファンドラップがここまで残高を増加したのには理由があるのでしょうから、このことについて考えてみました。
「分散投資の方法が分からない」「投資をしたいが何に投資すればいいか分からない」「運用商品を代わりに購入してほしい」といった投資初心者や忙しくて運用どころではない人には利用するメリットがあるのかもしれません。
また、投資を始めたいけどその一歩が踏み出せない人にとっては、ファンドラップがいい機会になって投資を始めるきっかけになる可能性があります。
たとえ高い手数料を支払っても、それを超えるリターンがあれば、投資を始められない人や始める一歩を踏み出せなかった人から見れば一歩先に進んでいるのかもしれません。
とはいえ、ファンドラップが毎月分配型投資信託と並ぶ情報弱者対象の商品であることには変わりません。
高い投資コストを支払ったからといってリスクを代わりにかぶってくれるわけでもありません。
ファインドラップがおすすめの人?
そんな人はいませんよ。
さいごに
ファンドラップは、やはりデメリットを考えると利用するメリットはあまりないです。
知り合いのファンドマネージャーも証券会社はCMをバンバン流してるのは儲かるからであって、お客さんにとってはメリットがないといっています。
また、本当にお客さんにメリットがある商品は、CMで流したり、証券会社からすすめることはほとんどないとも言ってました。
金融商品で、最も一般消費者が手を出さない方が良い商品の一つといえます。