管理人が所属している団体では、毎月勉強会を開催しています。
今回は、相続専門の弁護士が講師を務めるというので、勉強会に参加してきました。
勉強会に参加している人は様々で、税理士、司法書士、行政書士、不動産営業、ファイナンシャルプランナーが参加してました。
管理人は、ファイナンシャルプランナーとして参加しました。
相続対策は税金だけでは不十分だった
相続問題の話をすると「うちは相続税がかかるほどの財産がない」とか「うちの家族は仲がいいから大丈夫」といった意見を聞きます。
しかし、相続問題は税金だけの問題ではありません。
仲が良かった家族なのに相続がきっかけで犬猿の仲に・・・・・・、なんてことが起こりえるのが相続です。
相続対策を大きく分けると、「節税対策」「納税対策」「遺産分割対策」があって、最近ではさらに「認知症対策」が加わるといわれています。
認知症の問題点として、認知症にになってしまうと法律行為が行えなくなってしまうことです、また、金融機関から認知症が疑われると本人の銀行口座を凍結されてしまいますから、対策は必要です。
節税対策とは、資産の評価を下げて合法的に納める税金を少なくする対策です。
納税対策とは、相続税を納めるための現金をどのような手段で用意するかといった対策です。
遺産分割対策とは、相続人に不平が出ないように、円滑に相続できるように立てる対策です。
不動産がある相続はもめやすい
相続対策のうちの「節税対策」に効果的なのが不動産です。
特に時価と相続税評価が乖離している物件ほど効果が大きくなります。
ビルやアパートなどの不動産資産は、税金対策に最も効果的な方法といわれてます。
ところが、相続財産に不動産が入っていて、かつ、税金対策だけしかしてない場合は「もめる相続」になる確率がぐっと高くなるようです。
遺言がなければ、相続割合は法律のルールにしたがうことになります。多くの家庭では不動産の評価が高いので、必然的に財産に占める不動産の割合が高くなります。
そして、相続対策をせずに相続財産と同額の現金預金を用意しているケースはまれなので、不動産を共有することになりますが、不動産の共有で相続人全員が納得するケースは多くありません。
不動産を共有しなかった場合でも、不動産を相続する人と相続しない人とがいる場合は、不平・不満が出やすくなり、結果として相続人同士で裁判にまで発展することも少なくありません。
他にも、不動産の種類によっては、空き家、底地といった価値に比べて相続税が高い不動産もあります。
そういった不動産は、生前に処分しておかないと後でもめる原因になります。
相続財産に不動産がある場合は、遺言を書き、生前整理をし、相続対策をしておく必要があります。
生命保険は使い勝手がいい
不動産や自社株式が、相続でもめる原因となるのは、相続人の間で分けにくいからです。
反対に現金預金は誰が見ても分けやすいので、生命保険を活用した相続対策がよく行われています。
生命保険は、受取人固有の財産です。
受取人固有の財産なので、生命保険金は相続財産から外れます。
不動産を相続する人を受取人としておき、不動産を相続しない人に受け取った生命保険を渡したり、代償分割に使うことで、相続人間の不平・不満も減少できます。
また、生命保険は、相続税の納税資金作りにも有効な方法とされています。
不要な空き家、底地はできれば生前に処分しておく
空き家は、他人に貸していれば節税になることはありますが、維持管理に費用がかかります。
不動産は分けにくいため、スムーズな遺産分割のためにも生前に売却しておくのは一つの手です。
不動産を売却した金額で、老人ホームに入居したり、地方へ移住することもできます。
底地というのは、他人に貸している土地を所有していることです。土地の所有権はあるけど、所有している土地上に他人が建物を建てて住んでるケースです。
底地は、土地の所有をしてても、他人に貸しているので自分で自由には使えません。
底地の多くは、資産価値の割に高い相続税評価がされているので、生前に処分するのがいいケースもあります。
よくある相続では、資産価値の高い不動産から処分され、残るのは歪な形の土地や底地といったケースです。
資産価値のある不動産を売って、マイナス資産の負動産を残してしまってる人は意外と多いのですが、これだと後に処分で困ります。
まとめ
最近の相続対策で認知症対策を考えるのは、認知症になると契約行為が出来なくなるからです。
必ずしも認知症対策になるわけではありませんが、認知症になると法律行為ができなくなることまでは知られてません。
相続対策は、税金だけの問題ではなく、「節税対策」と「納税対策」といった税金対策の他に、「遺産分割対策」や「認知症対策」といったものがあります。
また、相続財産に不動産や自社株式が含まれていると、不動産や自社株式は分けにくいので、不平、不満が出てもめる原因となります。
相続財産に不動産や自社株式がある場合は、税金対策に加えて遺産分割対策が必要です。
生命保険は、相続人固有の財産なので相続対策に効果的です。
資産価値の低い不動産は、事前に処分して整理しておくのが相続対策になることもあります。
最近の認知症対策では、家族信託が注目されています。