投資で格差はさらに広がっていく、NISAとiDeCoは投資のきっかけになるか

2018年から「つみたてNISA(ニーサ)」が始まったおかげで、投資に関して質問を受けることが増えるようになりました。

同じ収入でも投資をしている人と していない人とでは、老後に準備できるお金に倍の差がつくというデータもあり、資産形成に向けて投資に興味を持つ人が増えています。

特にここ数年で若い人が投資に興味を持つようになったと感じます。

 

生命保険文化センターによる調査によると、ゆとりある老後を送るためには毎月34.9万円かかるそうです。

自宅が賃貸の人は、もっと必要になると思います。

年金だけでは老後生活は成り立たないという現実

ゆとりある老後生活ではなく、平均的な生活の場合でも、老後の2人世帯の生活にかかる費用の平均は26万~27万円だそうです。

http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/nen/index.html

生命保険文化センターによれば、最低の生活を送るにも毎月22万円が必要になります。

 

老後に受け取れる年金は、どのようにして年金を納めてきたかによって金額は一人一人違いますが、夫婦合わせた平均額は、20万円~22万円程だそうです。

となると、平均的な老後を送るためには、毎月5~6万円程度不足することになります。

 

また、物価の上昇が続いた場合の、インフレに対するリスクもあります。

物価の上昇が毎年2%起こるのであれば、5年で1割、10年で18%の財産の価値が失われることになります。

例え1%だったとしても、貯金では10年で1割の実質的な価値が失われていくことになります。

気づかないうちに価値が失われるというのは恐ろしいことですが、多くの人は知りません。

NISA(ニーサ)とiDeCo(イデコ)は、国が推奨している投資

高齢社会の日本では、高齢になってから働くのは容易ではありません。

高齢率が今後も上昇していくことから、日本国民の社会保障負担は益々増大していく可能性が高いです。

日本政府が掲げた「貯蓄から投資」は、日本の危機的状況を回避するために必要な政策で、人生100年時代を生きる個人にとっても必要なことです。

 

そして、貯蓄から投資への対策が「NISA(ニーサ)」と「iDeCo(イデコ)」です。

NISA(ニーサ)は、イギリスの個人貯蓄口座(Individual Savings Account)をモデルにしているといわれ、NISAは「Nippon Individual Savings Account」の頭文字の略になります。

 

iDeCo(イデコ)は、確定拠出年金の個人型のことで、i は私を意味し、DeCo は「Defined Contribution」の略です。

「Defined Contribution Plan」は、確定拠出年金のことで、この制度自体は以前からありましたが、2017年に全ての人が確定拠出年金個人型の対象(20歳以上60歳未満)になったのを機に、馴染みやすくなるようにと名称を iDeCo(イデコ)に変わりました。

 

NISAもiDeCoも国が推奨している制度なので、知っておいて損はないです。

2018年4月現在、NISAには3種類あります

NISAは、2014年から始まった制度です。

その後、2016年にジュニアNISAが始まり、2018年にはつみたてNISAが開始されました。

 

NISA

NISAは、株式や投信等に得た利益について5年非課税(短すぎ)になる制度です。

しかし、いくら政府が訴えてもリスクを取ることに慣れていない日本人には、あまり受け入れられなかったようで、開設したNISA口座も過半数が休眠状態といわれます。

 

NISAは、値上がり益と配当金にかかる税金が非課税になりますが、デメリットもあります。

まず、NISA口座でマイナスが出ても、他の株式や投信のプラスと損益通算できません。

また、マイナスで口座を移すとマイナス状態の金額でスタートしたとみなされてしまい、最初の金額に戻ったのに課税されるといったデメリットもあります。

NISAの年間の最大投資額は、120万円で期間は5年間なので最大で600万円です。

何より非課税期間が短いので、少し残念な制度となっています

ジュニアNISA

ジュニアNISAは、20歳未満の教育資金作り等が対象のNISAです。

値上がり利益や配当金の利益が非課税になるのはNISAと同じですが、目的外で使ってしまうと課税されます。

ジュニアNISAの制度を通して孫から子への資産の移動が可能です。

つみたてNISA

つみたてNISAは、NISAと違い、一定の条件を満たす投信やETFといった金融商品から選択して投資します。

長期投資では、維持コストと再投資がポイントになるなので、つみたてNISAでは、信託報酬が低コストで、頻繁に分配金が支払われないものが投資対象となります。

投信も手数料の高いアクティブ投信は少なく、多くはインデックス投信です。

つみたてNISAの投資可能な金額は、年間最大40万円で、非課税期間は20年なので、枠を全部使えば合計で800万円になります。

確定拠出年金の個人型の対象が拡大したiDeCo(イデコ)

確定拠出年金の個人型の対象が拡大したことで「iDeCo(イデコ)」の名称となりましたが、確定拠出年金の個人型自体は以前からありました。

 

iDeCoの最大のメリットは、3つの節税効果です。

まず、掛け金を拠出したときに、掛け金全額が所得税と住民税の対象から外れますが、この効果は大きいです。

iDeCoは、20歳以上60歳未満が対象なので、最大で40年間この所得控除の対象となります。

 

次に、運用期間の値上がり益と配当益が非課税となります。

非課税の分も投資に回せるので、チャンスが増えることになります。

 

さらに、掛け金を将来受け取るときにも、「退職所得控除」と「公的年金等控除」の対象になるので、節税の効果が見込めます。

 

iDeCoで1か月に投資できる上限は、働く形態や企業年金の有無によって違いますが、企業年金がない会社員なら23,000円、自営業なら68,000円です。

公的年金が頼りない自営業にとって頼りになる制度です。

 

ただし、iDeCoには任意脱退がないので、かけたお金は60歳にならないともらえません。これはデメリットといえます。

といっても確定拠出年金が老後の資金不足解消のためですので、自由にお金を引き出しては意味がありません。

iDeCoの所得控除の効果

iDeCoで拠出した掛け金は、全額所得控除の対象になります。

もし仮に所得金額が500万円であれば、だいたい所得税が20%と住民税が10%なので、何もしなくても約30%の効果が期待できます。

http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

 

元本確定型の商品では、リスクがないかわりにお金が殖やせませんが、iDeCoを利用することで30%の節税効果があります。

ただし、iDeCoは、毎月費用がかかりますので、リスクがなくても費用分は資産が目減りしていきます。

とはいってもiDeCoのメリットに比べたら少ない費用といえます。

NISAとiDeCoの使い分け

ライフプランの相談では、家計の資産がマイナスとなる時期の最も多いのは老後です。

老後の次は、子供の教育進学の時期に資産がマイナスとなることがあります。

 

例え子供の進学を乗り切ったとしても、多くの家庭では老後にマイナスになります。

NISAやiDeCoを利用するのであれば、子どもが小さいうちは負担の少ない範囲で行い、子供が独立した後に掛け金を増やすのがよいかもしれません。

iDeCoは、老後まで使えませんが、少額でも積立てていけば複利の効果を受けれますし、投資に興味を持つきっかけになるかもしれません。

老後に不安があるのであれば、iDeCoを優先して利用しながら、NISAかつみたてNISAのどちらかを補助的に利用してはどうでしょう。

NISAとiDeCoの利用についての比較まとめ

  • NISAには、「NISA」以外にも、「ジュニアNISA」と「つみたてNISA」がある。
  • NISAもiDeCoも節税効果にメリットあり。
  • NISAとiDeCoには、それぞれ投資金額に上限がある。
  • NISAは、値上がり益と配当利益・分配益にかかる税金が非課税になる。
  • iDeCoの節税には、掛け金の「拠出時」、値上がり・配当金の「運用時」、60歳以降の「受取時」の3つがある。
  • iDeCoは、60歳にならないとお金が受け取れない。
  • 資産が底をつくタイミングのほとんどは老後。